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おおいたアーバンクラシック2018年大会優勝 石上優大インタビュー

昨年のおおいたアーバンクラシック第1回大会で優勝した石上優大は、フランスに拠点を置き、現地のチームに所属して活動している。今年は7月下旬からのナショナルチームの欧州遠征に合流してレースを転戦中。残念ながら今回のおおいたアーバンクラシックには出場しないが、昨年大会の事と今年の見どころ、近況などを語ってもらった。

■おおいたアーバンクラシックのコースは逃げで勝負

−昨年大会は終盤に3人の逃げから優勝したレースでした。これは作戦ですか?

「昨年はナショナルチームとして出場しましたが、浅田監督から常に先手で攻めるように言われていました。自分もプッシュして前の方で動いていたら、松田祥位選手と雨澤毅明選手の3人の逃げが決まりました。」

−おおいたアーバンクラシックのコースは逃げた方が有利?

「人数にもよりますが逃げた方が楽になると思います。5人から10人くらいの逃げがベストですね。アーバンクラシックのコースは、特有のリズムを掴めば速く走ることが出来ると思います。ただアップダウンが多いので、ジリジリと足が削られるコースです。集団が丸く膨らんでゆったりと走るのではなく、住宅街の部分では長く伸びる傾向にあります。だから集団で走ってもあまり楽ではないんです。大集団でのスプリントになるようなことはなく、逃げで勝負するコースだと思います。自分の走り方に合っているので好きなコースですね。今年は夏の開催なので、暑さが加わるとさらに厳しいレースになるでしょう。」

−勝負どころはどこでしょう?

「コース前半の住宅街と、フィニッシュに向かう最後の登りです。昨年の3人の逃げは住宅街前後で決まりました。そこを抜けるとコーナーが連続して、集団からは見えなくなります。フィニッシュに向かう登りは思ったより長い印象がありましたが、だからこそ最後の勝負が決まる場所になります。観客の皆さんにとっても、この2ヶ所は見どころになると思います。」


■2度の鎖骨骨折 失意の底の石上に降りてきた「神」

「昨年はおおいたアーバンクラシックでの優勝だけでなく、U23の全日本選手権ロードレースでの優勝など、勢いに乗った1年だった。しかし今年は2月と5月の2回も鎖骨を折る不運に見舞われた。6月の全日本選手権に合わせて帰国したが、気持ちは完全に切れていたと言う。」

−今年の前半は本当に大変でしたね

「最初の骨折の時はまだ前向きになれましたし、すぐにローラー台に乗ってトレーニングを続けていました。フランスの医療制度の勝手がわからず、フラストレーションもたまっていましたが、復帰後のイメージも考えることが出来ていました。でも2回目の時は「またか」という気持ちで唖然としました。練習どころか、自転車に乗るモチベーションすら無く、復帰にまた2ヶ月もかかるのかと考えると将来が見えなくなりました。

気持ちが切れたまま帰国し、多くの方から全日本選手権はどうするのかと聞かれましたが、「わからない」と答え続けていました。でも実は全日本選手権を走る気は一切無くて、「なんで出なければいけないんだ」とさえ思っていました。」

−そんな状況でも、最終的に全日本選手権に出場したのはなぜでしょう?

「『神様』に言われた・・・と言うか、突然フッと走る気になったのです。あの時点では、たとえ浅田監督に言われても出場する気持ちにはならなかったです。でも突然何かが振り切れた感じと言うか、何かかが降りてきた感じで、全日本出場を決めました。結果は9位でしたが、楽しかった。全日本前に1週間くらいしか練習出来ていなかったのに、思ったより走れました。」

■UCI 1クラスで7位も「キョトン」

全日本選手権の後フランスに戻ると、石上は再び活躍し始めた。

−フランスに戻っていきなり勝ちましたね

「フランスのアマチュア全カテゴリーが出場するレースなのですが、練習レース程度に考えていて練習用ホイールで出場しました。それでアタックの感覚を取り戻したいと思っていたら、スタート10kmで逃げが決まってしまい、残り100kmを逃げ切って勝ちました。アタックの練習にはならなかったですね(笑)。」

−そして先日スペインで行われたUCI 1クラスのレース「プルエバ・ビリャフランカ・デ・オルディシア(UCI 1.1)」にナショナルチームのメンバーとして出場し、7位に入りました。

「自分ではあまりすごいという感覚はなくて「キョトン」としているのが正直なところです。実際には1人が逃げていたのですが、大人数が逃げていると思っていたので、集団のスプリントでトップ10に入れていればいいなという感覚でした。レース後に浅田監督をはじめ多くの方々から祝福してもらったのですが、本当に『キョトン』としていて・・・(笑)。しばらくして色々な情報が入ってきて、すごいレースだったんだと実感してます。」

−2度の鎖骨骨折で失ったものを取り戻せたと思いますか?

「この結果で挽回したとは思っていないし、まだ欧州のUCIレースはおろか、エリートナショナルやフランスのトップカテゴリーでも勝っていないので、正直まだまだだと思っています。今できる事をしっかりやるという感じです。7位に入ったレースも調子が良かったわけでなく、できる事をやり、楽しく走り、それがうまく噛み合って順位に結びついたのだと思っています。」

−この結果で、来年の東京オリンピック代表の可能性も出てきましたが・・・?

「それも正直『キョトン』ですね(笑)。オリンピックはまったく考えていなかったので・・・。でもチャンスを頂けるなら精一杯頑張りたいと思います。」

(注釈:8月5日現在、代表選考ランキングでは、1位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン、201.8p)、2位 新城幸也(バーレーンメリダ、171p)3位 石上優大(140.5p)となっている)

−今シーズン後半の目標は?

「10月に行われるロンバルディアのU23レースと、パリ–ツールのU23レースで結果を出すこと。あとはどこかで1勝挙げたいですね。来年プロチームと契約するためにも。でもそれで自分をがんじがらめにしたくもないので、気軽にやっているところもあります(笑)。ジャパンカップの1週間前まで欧州で活動する予定です。」


そして先日、プロコンチネンタルチームの「NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ」に、石上がトレーニー(練習生)として加入することが発表された。欧州トップレベルのレースで石上の姿を見られる日は近いのかもしれない。今後の活躍に注目したい。


Interview:Kensaku SAKAI
Edit:Satoru Kato
photo:Cyclisme Japon , Kensaku SAKAI

プルエバ・ビリャフランカ・デ・オルディシアで最優秀U23の表彰を受けた石上優大
最優秀U23賞のトロフィーと花束を手に笑顔を見せる石上
レースを支配したモビスターのメンバーと共に表彰台に乗る石上優大